2018年01月24日

アレルギー検査のお話

こんばんは!鈴木です。

今日はものすごい雪ですね!参加を予定していたセミナーが急遽中止になってしまったため、よくご質問のあるアレルギー検査についてお話しようと思います。

現在、日本で行うことができる主なアレルギー検査は血液を用いて行います。人で行うパッチテストに近い検査も欧米では盛んに行われていますが、日本ではその材料となる抗原液が入手しにくいため、限られた施設でしか実施されていません。
そのため、今日のお話は血液を使うアレルギー検査に絞っています。

まず、血液のアレルギー検査には大きく分けて2種類があります。
「アレルゲン特異的IgE検査」と「リンパ球反応検査」です。

食物アレルギーを疑う場合は、2種類とも検査をする場合が多いです。ここで注意しなくてはいけないのが、仮に検査で陽性もしくは要注意の反応が出たとしてもアレルギーの確定にはならないということです。陽性であっても食べても問題ない食材があれば、陰性でも食べるとアレルギー反応を起こしてしまう食材もあります。これをはっきりさせるためには、「除去食試験」といってそれまでに食べたことのない成分で作られたフードを食べてもらい、痒みなどの症状が改善するかを確認します。症状の改善が見られたら、元のフードにもどす「食物負荷試験」を行い、症状が悪化することを確認しなければいけません。
それは食事を変えている間に他の要因(たとえば季節の変化など)によって症状が改善している可能性があるからです。この食物負荷試験を行っておらず、効果のない食事を続けていることが案外あります。「除去食試験により症状が改善→負荷試験により症状が悪化」この確認ができて初めて食物アレルギーと診断できます。アレルギー検査は除去食試験を行う際のフード選択の参考になるくらいで考えておきましょう。

次にアトピー性皮膚炎を疑う時に行うのはアレルゲン特異的IgE検査です。この検査は、血液中にそれぞれの環境アレルゲンに対して体が反応しやすいかどうか、を調べる検査となります。
原因アレルゲンが特定できたら、できるだけそのアレルゲンを回避することが症状の緩和につながる可能性があります。たとえば、ハウスダストなどに陽性反応が出た場合は、アレルゲンを徐々に体に慣らしていく治療(減感作療法)を行うことも可能です。また、花粉に対して陽性反応が出た場合、外出の際に服を着用したり、外出後は皮膚に付着したアレルゲンをブラッシングなどで落とすことを検討します。
一方、検査結果の解釈には注意が必要です。たとえば、すべての検査項目が陰性と判断されても、アトピー性皮膚炎を否定することはできません。アレルギー検査では生活環境に存在するすべての環境アレルゲンを対象にして検査を行っているわけではないからです。あくまでもアレルギー検査は、環境アレルゲンに対してアレルギー反応を起こしやすい「体質」かどうかを調べる検査です。

このようにアレルギー検査も使い方とその解釈により良し悪しが出てきますので、ご希望の場合は一度獣医師までご相談ください。
posted by 鈴木 隼人 at 22:29| Comment(0) | 日記

2018年01月13日

かゆみ止めのお話

明けましておめでとうございます!
鈴木です!

ぼやぼやしているうちに前回の投稿から2ヵ月も経ってしまいました…。
年末は何かと忙しいので忘れてしまっていました…すいません(´・ω・`)

2018年はより皆さまに有益な情報をお届けできるようにしていきたいと思います!

今年最初のお話は「かゆみ止め」についてです。
私たち獣医師によく使用されるかゆみ止めについて、ご説明したいと思います。

まずは「ステロイド(プレドニゾロン)」です。
ステロイドと聞くだけでいや〜な印象を持たれている方も多くいらっしゃると思います。
ステロイドはホルモンでできていて、健康な体にも存在し、体をストレスから守ってくれています。
ステロイドは体の炎症を抑えることでかゆみ止めとしての力を発揮します。少ない量では炎症を抑え込み、多い量では免疫を抑える働きが強くなります。そのため、免疫系の疾患でもステロイドは活躍します。またステロイドには即効性があるため、使用してから約4時間ほどで効果が出てきます。
しかし、ステロイドには様々な副作用があり、計画的に使用しないと副作用が大きな問題となることがあります。主な副作用には、多飲多尿、多食、肝障害、糖尿病(特に猫さん)、腹囲膨満、脱毛などがあります。

次に「抗ヒスタミン薬」です。
人の花粉症やアレルギーではメインで活躍する薬です。アレグラなんかがそうです。
副作用として眠気があり、それを利用して興奮気味の子に使用したりもします。
効果が安定するまで2〜4週間と時間がかかります。またアトピー性皮膚炎で効果が認められるのは、全体の10%程度とステロイドに比べると、しっかりとかゆみを止めてくれる薬ではありません。

3つ目は「シクロスポリン(アトピカ)」です。
これはリンパ球の働きを抑制し、アレルギーや炎症性の皮膚の病気で効果を発揮します。
かゆみを止める効果はステロイドに匹敵しますが、効果の発現には4週間ほどの時間がかかります。
主な副作用には、胃腸障害(主に嘔吐)や多毛、歯肉の過形成、乳頭腫(いぼ)の多発などがあります。胃腸障害についてはシクロスポリンを冷凍させることで嘔吐の症状を抑えることができるといわれています。

最後は「オクラシチニブ(アポキル)」です。
こちらは2年前に発売されたばかりの新しい薬です。
皮膚の炎症を起こす物質の結合を阻害する薬で「分子標的薬」という種類になります。
かゆみを止める効果は、ステロイドやシクロスポリンと同等であり、ステロイドと同等の即効性を持っています。また、副作用が比較的少ないことでも知られており、10%の割合で膀胱炎や皮膚の感染症を起こすと言われています。

どれも一長一短ですが、病気によってよく効く薬、効きにくい薬があります。それらを把握し、飼い主さまにしっかりとご提案できるよう、日々の勉学に励みたいと思います。
posted by 鈴木 隼人 at 22:08| Comment(0) | 日記